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主人公目線の『SKYSTORY』物語

こんにちは。小石のような男です。

今回は、『SKYSTORY』を最近知った方、または過去に知った方へのおさらい記事です。

これまでとは少し視点を変え、主人公「リード」の目線から

概要、これだけは知っておきたい主要部分について、まとめました。

それではさっそくご紹介させてください。




主人公の物語

NOAH(ノア)島で育った少年。

親兄弟を知らず、島長のアカシアが育てる。 島で唯一の耳長属だということで差別の対象として幼少期を過ごす。

ひとりぼっちで育ったリードは、少しでも周りから気に入ってもらうため、ヒト前では辛い時でも笑顔を絶やさない。

他者を思いやれる優しい性格。

初めは差別していた者達も、リードの人間性を知り少しずつ見方を変える者も出てくる。

ヒトに対しても、ディーノ、グレイ、エボル(*1)に対しても、ひとりぼっちでいる者を放ってはおけない。

たとえ自分が損するとわかっている状況だとしても。

(*1)SKYNOTE 第一版第一稿 https://koishiotoko0917.booth.pm/items/4178593(ディーノ、グレイ、エボルについてはこちらを参照してください)




しかし優しいだけでは弱く、馬鹿にしてくる者も多いことに気付いたリードは一人称を僕から〈俺〉に呼び替えて強がった。

島のみんなに認められたい一心で、皆が驚くことを達成していく。

すると次第にリードをハーフエルフ、ヒトが忌み嫌う耳長属としてではなく、一人の《人間》として見られる様になっていう。そう、ようやく島の一員として認められたのだ。

ようやく島のヒト達と仲良くなった。 リードが本当の笑顔を皆に見せる様になった頃、島を攻撃する敵が出現した。

島の大人達が魔法で応戦するが敵は強く歯が立たない。

そんな時立ち上がったのはリード・ベルだ。

幼少期あれだけ自分を蔑んできた者達のために、皆を、島を、大切な者達を守るために持てる力の全てをぶつけて島を守る。

そしてリードは島の英雄として、外の世界への冒険に出る。

独りぼっちの少年としてではなく、NOAH島出身のハーフエルフ、《ニワトリ少年リード・ベル》として。

島の者達はリードが旅立つ時、夜明けを告げる鶏が心底寂しそうに泣きじゃくったのを聞いたという。

こうして全一章~八章の物語へと始まっていく。

続く。

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SS(SKYSTORY)小説8

こんにちは。小石のような男です。

SKYSTORY(SS)小説好評につき、第8弾まで来ました。

今回も簡単に読めるよう、短く書きました🖊

さっそくSKYSTORYの世界をご堪能ください🌎

『NOAHの学び舎』




かつて大きな魔法を学ぶ学校だったところが、かつての大戦争によって甚大な被害を受けた。
元はものすごく大きな建造物だったが、大部分が無くなり跡地と化している。

今この場所はNOAHにいる者達の学び舎として使われている。

空の世界のリベラルアーツ学び、魔法、科学についても少し触れている。

リードにとってここはこれから外の世界に出る準備段階としてとても大切だった。

熱心に学び、貪欲に知識を得ていく。

しかし耳長族ということもあり、周りの者たちからは忌み嫌われ肩身が狭い思いをしていた。
後にイルミを羽ばたかせ、ダークエルフを撃退するという二つの奇跡を起こすまで、この扱いは続く。

その中でも

『アカシアの書庫』
-AKASHIC RECORDS-

アカシアの木の下には、アカシアによって許されたものだけが入れる巨大な書庫が存在する。

そこには世界の叡智が保管されており、リードとイルミはそこで一緒に沢山の本を読んだ。
リードが古代の石板を読み解くことができるのは、アカシアの書庫にあった本を読んでいたからである。

アカシアの書庫には”予言書”がある。

“いずれ全ての種族を束ねる王が誕生する。
その者が世界を平和する”

と言うもの。

それは一体予言書なのか、希望なのか、はたまた計画なのか。

それは誰にもわからない。

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SS小説7

こんにちは。小石のような男です。




SKYSTORY(SS)小説好評につき第7弾まで来ました。

今回も簡単に読めるよう、短く書きました🖊

さっそく『SKYSTORY』の世界をご堪能ください🌎

『リードの力』-Leed’s Power-

リードはエルフ同様、精霊達とコミュニケーションを取ることができる。

魔法もヒトのように杖や魔導書、魔法陣、呪文の詠唱が無くても使用でき(もちろん使用したらさらに強力な魔法を使用できる)、技を出す速度ではヒトの魔法使いより秀でている。

これはリードにヒト以外の耳長属の血が流れているから。

故に他種属の考えや気持ちも理解できる。
リードは他者に共感し過ぎてしまうため、普段は意識的に他者の意識に共感しないように突っ張って生きている。

イルミがそばにいたから

ニワトリ少年リード・ベルとその相棒イルミはいつも一緒に行動していた。

容姿がヒトと違うと差別を受けるリード、
飛べないエボルのイルミ、
二人は傷を知るもの同士かけがえのないパートナーになる。

リードはイルミに、どれだけ罵られようがドンと胸を張っていった方がいいと助言するも、自分は人前にでると強く主張することができない。

二人ともこれではいつまで経っても状況が変化しないと思ったリードは、自分の呼び方を”僕”から”俺”に変えるところから始め、突っ張って生きていくと決める。

自分のことを俺と呼び、何かちょっかいをかけてきた相手は正面から衝突するようにしたことによって少しずつリード達を悪く言う者が減っていく。

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pixivFANBOX SKYSTORY SS小説

SKYSTORY小説6

こんにちは。小石のような男です。




SKYSTORY(SS)小説好評につき第6弾まで来ました。

今回も簡単に読めるよう、短く書きました🖊

さっそくSKYSTORYの世界をご堪能ください🌎

セリアン

『我々はれっきとしたヒト型種属であり、下等生物として扱われる筋合いはない。よって我々セリアンは平等を主張する。我々はお前たちと同じ、知性を持つ〈人間〉だ!』

 これは俺の国が創られた際に、初代王が世界に向けて言い放った有名な言葉だ。

 セリアン種属はこれまで獣とヒトの混血である、下等種として扱われてきた。

 感情的になると獣、もしくは魔獣のように暴走してしまう場合もあり他種属と比べると知性が低い。

 だが、不当に扱われるのはおかしい。

 俺の国の民達は今でも尚、他種属に対しての敵対心や恨みの感情が大きく、平等を獲得できないのなら全てに対して攻撃を仕掛ける覚悟がある。

 かつて初代王が他種属に対して仕掛けた戦は、非常に多くの敵味方の命を奪い、多くの者達にトラウマを植え付けた。

 認めさせることに必死なセリアン種属は大義を優先するあまり、個の命をないがしろにし、兵士たちの命を犠牲にする決死の特攻をしかけた。

 兵士たちには痛みを麻痺させ、過剰に興奮する薬を飲ませ、狂戦士を作り出したのだ。

 〈人間であること〉を主張しながらも、およそ人間とは程遠い獣の姿を晒し、世界は恐怖に包まれたのであったーーー

さらに続きを読みたい方は小石のpixivにて

https://koishiotoko.fanbox.cc/

ブログ限定公開 小説シリーズ




1話完結のその他小説が読める、下記のリンクを貼っておきました。

ぜひこちらも読んでみて下さい👏

・SKYSTORY小説1

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・SKYSTORY小説2

https://wp.me/pbYvU7-1vl

・SKYSTORY小説3

https://wp.me/pbYvU7-1yP

・SKYSTORY小説4

https://wp.me/pbYvU7-1B6

・SKYSTORY小説5

https://wp.me/pbYvU7-1E8

それでは次回の記事でお会いしましょう👋

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SKYSTORY SS小説 イベント イラスト本 小石のような男

SS小説(SKYSTORY小説9)

こんにちは。小石のような男です。

6月お絵描き企画開催たくさんの参加ありがとうございました!

たくさん参加していただいた記念として、

小説作品【桜の詩】の一部をブログの方でも公開させていただきます!

それではお楽しみください😌




桜の詩 本編

_______________________________________

 コツ……コツ……………………コツ……。

 ヴェイルは岩壁にもたれて座っていた。

 誰も入ってこない洞窟の中で、一つの音だけが鳴り響いている。

 百本も長い足がある虫や、湿ったトカゲのような生き物たちが、力無く伸ばされたヴェイルの両脚を越えていく。

 コツ……コツコツ。

「ぁ……。ぁぅ…………」

 体に力が入らない。

 もう立って歩くことも、まともに話すこともできない。

 体から根が生える程ここにいた気がする。

 どれくらいの時が経ったのだろう。

 わからない。

 ヒラヒラと揺れながら飛んでくる、さくら色に発光している羽虫がヴェイルの鼻に止まる。

 羽虫は降りていき、ヴェイルの腰元を照らす。

 ──コツコツ……。

「……………………ぁぅ」

 ヴェイルは無意識に動いていた自分の右手に気づく。

 右手は小石を持っており、地面に書かれた『桜』の文字がさくら色に照らされた。

 何度も何度もその文字が消えないように、同じ線が石で打ち付けられている。

 もうほとんど動く力が残っていないはずなのに、その文字だけは、はっきりと書かれていた。

 ヴェイルは『桜』の文字を見た途端、微かな生気を取り戻し、ある瞬間を思い出す。

 そこは丘の上。

 華やかに咲き、儚く散っていく、白色や淡い紅色の花を咲かせる一本の木。

 その木の下に、凛と立っている美しい女性に目を奪われたあの瞬間だ。

 あの瞬間はちゃんと、褪せることなく心に残っていた。

 ヴェイルの心臓の辺りが温かくなっていく。

 そうか。

 僕は忘れたくなかったんだ。

 もう決して会うことはできないけど、

 君のことだけは、忘れたくなかったんだ。




_______________________________________

 

   第一章 始まりの島

_______________________________________

   一 辺境の島

 ヴェイルはノアという島に到着した。

 この島はとても歴史が長い。年代が大きくズレた遺跡が多数存在し、そもそもいつ誕生したのかが解明されていない辺境の島だ。

 この島に辿り着くまでの道の過酷さが、より一層、島の価値を上げるのだ。

「噂以上の島だな……」

 高さが百メートルほどある巨大樹の森や古代遺跡が多い砂漠地帯、エメラルドグリーンのカーテンが綺麗な氷雪地帯など、あげればキリがないほどの絶景が詰まった夢の島。

 島に来た目的を忘れてしまいそうになる。

 ヴェイルは世界的な物書きである。

 代表作には自身が経験した、数々の旅を繋ぎ合わせたノンフィクション作品『紡旅(つむぎたび)』、魔法の概念が無い国の空想物語『機巧(からくり)仕掛けの島』、異なる人型種属同士の愛をテーマに書かれた小説『繋がる愛のバラッド』などがある。

 そんなヴェイルにとって、ノア島ほど胸が躍るものはない。

 この島を題材に三冊は本が創れる。

 そんなことを思いながら、移動中の相棒であった渡し鳥フェニキスの広い背中から飛び降りる。

「ここまで連れてきてくれてありがとう。さすがに疲れたろ……ゆっくり休んでくれ」

 島と島を移動する際に乗る渡し鳥は、基本的に降り立った場所で用が終わるまで待たせておくのだが、今回ノア島には長期滞在する予定のため、渡し鳥を自由に空へ放す。

 一度心を通わせた渡し鳥は、例え離れていても、心の中で呼ぶと自分の元へ飛んできてくれる。

 島の中心の、山より大きい黄金の巨大樹に向かって羽ばたく後ろ姿を見送った後、ヴェイルはベルトにかけてある小さな鞄から、革のカバーが付けられたノートを取り出し、ノア島でしなければならないことを確認する。

「ふぅ……仕事の前にこの島を堪能しないとな」

 ヴェイルは、この先待ち受けている重要な任務のことを考えると気が重くなる。

 ノア島に上陸するまでに乗り越えた数々の障壁は、どんな傷でも高速で回復するヴェイルとフェニキスにしか乗り越える事ができないものばかりであった。

 まず初めにノア島があるのではないかと予測した地域へ、使いの生き物達を飛ばした。

 すると、ある空域に送った使いの生き物達だけ帰ってこなかった。

 使いの生き物は、ヴェイルが与えた餌以外食べることができないように育てたため、お腹が減ったら帰ってくる。

 数日経っても帰ってこないなんてことはあり得ないのだ。

 おそらくそこにノア島があるのだろうと踏んだヴェイルは、その特殊空域を目指した。

 長年の友人である渡し鳥フェニキスの背に飛び乗り、ノア島へ出発した。

 フェニキスが一緒なら、今度の旅も大丈夫だとヴェイルは過信していた。

 ある程度進むと、回遊を終えたであろう空鯨達が宙を泳いでいるのを発見した。

 ヴェイルとフェニキスは空鯨達の跡を追ってみることにした。

 少し時間が経つと、徐々に別の方角から他の空鯨達が集まりだし、みながある一点に向かって泳ぎだした。

 空鯨は、空を泳ぐ空魚の中でも最大級の大きさをしており、より上質なエネルギーを含む場所を求める。そのため、このまま追っていけば目的地へと辿り着けるとヴェイルは考えた。

 進むにつれて、静電気を帯びた空気が体に纏わり付き、バチバチと、小さな蜂に刺されたように痛む。

 巨大な球状の雲がヴェイル達の前に現れる。

「この大きさ、ノアの空域ごと雲だな」

 どんどん視界が雲で遮られるようになり、とうとう雲の中へすっぽりと入ってしまう。

 ヴェイルの焦りが伝わり、フェニキスも緊迫感のある顔に変わる。

「雲が島を守っているのか」

 雲の中に侵入するも、この雲は何層もあり、進むにつれて目視できる水の粒が増え、そして大きくなっていく。

 気流が乱れ出し、真っ直ぐ飛ぶ事が不可能になる。

 不規則な気流の中から、ノア島へ向かうルートを導き出し、かなり遠回りをして乱気流を抜ける。

 そして現れたのは、超巨大積乱雲だ。

(あれは、やばすぎる)

 ヴェイルの直感、そして理性どちらもこの中に入るのは危険であると言っている。

 フェニキスは身震いし、飛行速度が落ちる。

 しかし、ここを乗り越えなければ島に辿り着くことができないということも解っている。

 ヴェイルとフェニキスは警戒しながら、ゆっくりと積乱雲に突入する。

 四方八方で発生する青い稲妻が、周囲を明るくしている。

 怯えながらも、針に糸を通すような飛行を続ける。

 すると遠くから、細長い蛇のような影が、ウヨウヨとこちらを目掛けて泳いできているのが見える。

「フェニキス! 急げ! 捕まったらやばい」

 この積乱雲の中には肉食の電気ウナギが住んでおり、迷い込んだ生き物の動きを、自らが持つ電気で封じ、一斉に襲い掛かる。

 電気ウナギの体はヴェイルより大きい。

 そんな巨躯の強靭な顎で、骨ごと噛みちぎろうとするのだ。

 ヴェイルは一匹に、右腕の肘から下を噛みちぎられ、大量の血が宙へ飛散する。

 一瞬で噛みちぎられるため、痛みが遅れてやってくる。

 さっきまで当たり前のように生えていた腕が、食事や洗濯、書き物など、毎日さまざまなことで使用している右腕が一瞬にして無くなったのだ。

「いっってぇえーー……」

 ヴェイルが持つ再生能力のおかげで、食いちぎられた腕はすぐに再生するが、周囲に撒き散らされた血の匂いに誘われ、途方もない数の電気ウナギに襲われることになる。

 これまでヴェイルが経験した旅で、幾度となく大きな怪我を負う機会があったため、痛みへの耐性はかなりある方だ。

 しかし、それでも痛いものは痛い。

 噛みちぎられる前に、払って飛ばそうとすると、今度はヴェイルの腕がちぎれない程度の力で噛みつき、そこから電流を流して動きを封じてくる。

 電気によって体が麻痺したはいいものの、痛覚の方は健在だ。

 フェニキスの最高速度でどれだけ進んでも、次から次へと体が抉られる痛みが続く。

 腕が噛みちぎられ、脚が噛みちぎられ、そして再生した腕がまた噛みちぎられる。

 なんとか急所だけは避けてはいるが、気を失ってしまいそうだ。

「ピェエエエーーーーー!」

 攻撃を受けているのはフェニキスも同じで、何度も足や翼を噛みちぎられ、上手く飛ぶことが難しい。

 フェニキスもヴェイルと同じように再生能力を持っており、どれだけ体が傷つけられてもすぐに元に戻る。

 ヴェイルと共に痛みを耐えながら、なんとか飛んでいる状態だ。

 ようやく電気ウナギ達を振り払えたように思えたが、積乱雲の中から、雷を帯びた、山のように巨大な雲の竜が現れる。

「とうとうボスのお出ましか……」

 苛烈に過ぎる積乱雲の行路を凝集させた様な、恐ろしくも神々しいその雲竜には『ノアの番人』という言葉がぴったりと合う。

 こいつを切り抜ければその先にノアがあるような気がする。

 雲竜は口を大きく開けて近づいている。

 ヴェイルは逃げずに真っ直ぐ立ち向かった。

 この番人の先にノアがあるような気がした。

 雲竜は口だけでも世界一の大聖堂を丸呑みできてしまうほどに大きい。

「いくぞフェニキス。こいつを抜けたらノアだ」

 雲竜をノアの番人とすることで、削られ切った精神の最後の一滴を振り絞る。

 覚悟を決めた二人は口の中へ、閃光のように突入した。

 雲竜の中でヴェイル達は四方八方から雷に打たれ続け、全身が丸焦げになり、体の細胞が何度も破壊と再生を繰り返した。

 先程まで電気ウナギから受けていた電撃とは比にならないレベルの雷撃だ。

 五秒間に一度の間隔で雷に打たれ、その都度気を失うが、何度も目を覚まして突き進む。

 覚悟はしていてもここまでの苦痛を伴うものなのか……。

 そう思いながらも全ての雷撃を受け切りその先へ進む。

 真っ直ぐ、意志の力で進んでいく。

 起きては気絶し、気絶している刹那、何度も雲竜の攻撃を受ける夢を見る。

 現実なのか、夢なのかの区別がつかないくらい攻撃を受け続け、目を覚ますと雲竜の背中を突き抜けていた。

 雲に覆われた、永遠にも感じた闇の世界から一変して、雲の層の終わりを感じる光が見える。

 朦朧とした意識は、死んだ後行くと言われている永遠の国に到着したんじゃないかという錯覚を生む。

「ピィエェエエエエエエ」




 フェニキスの歓喜の声が冒険の終わりを知らせ、ヴェイルは目を覚ます。

 ヴェイルが手を力強く前にかざすと、正面にあった多くの静電気を帯びた塵が吹き飛んだ。

 そこには大きな島が見える。

 島の周りには、島よりも大きな三頭の巨大鯨が、島を時計回りに泳いでいる。

 一時間に一度鼻から大量の空気を噴き出す。

 巨大鯨が噴き出した場所の近くに、小さな空魚達が口をパクパクさせながら群がってきた。そしてその空魚たちを少し大きな空魚が食べる。

「ここでは、すごい速度で循環が行われているということか」

 ノア島を目指す時、最初に見かけた鯨達が、巨大な鯨達の後ろに着き、泳ぎ出している光景を見つける。

(ノアの生態系はノア圏内だけではなく、外部からのエネルギーも取り入れているということだね)

 ヴェイルはよく任務を忘れ、景色や生き物を観察することに熱中してしまうことがある。

 なにせ、今回の任務先は辺境の島だ。伝説の島とさえ言われている。物書きにとって、徹底的に調査するしかない舞台だ。

 島に上陸する際、一定水準を超える文明であれば着陸港が用意されているはずだが、そもそもノア島は外との交流を遮断しているため着陸港は存在しない。

 そのためヴェイルと渡し鳥は島を一周しながら、着陸する場所を探した。

 ヴェイルの相棒の渡し鳥は鷹科で、他の鷹科よりもかなりの速度で飛行することができる。

 しかし、それでもノア島を一周するには数時間はかかりそうだ。

 ヴェイルはひとまず近場で着陸できそうな場所を探して着陸した。

 渡し鳥を解放したヴェイルは、おそらく目的地があるはずの中心部へ向かって森の中へ入っていった。

 本来、目的地付近の巨大樹の根元まで飛んでいった方が早いのだが、ヴェイルはどうしても島を探検したかった。

 基本的に正規のルートで来訪者が来られないようになっているため、島の民に見られたら驚かせてしまうと思い、なるべく刺激しないように閑散としている場所を選んだつもりだったが、木の影から現れた一人の島の民に見つかってしまう。

 隠さなければならない部分を、最低限の布で隠し、森で採れたものや小さめのナイフを身につけている少年だ。

 島の少年はヴェイルに向かって、これまで聞いたことがないような言葉を吐いている。

 多くの文明に触れてきたヴェイルだったが、少年の発した言葉は、知っている言語の中で最も古い文明のものに似ている。

「一体いつからこの島が存在しているんだ」

 ヴェイルは現地民に発見されたという状況に相応しくない感情が発現した事に気づき、興奮を抑える。

「ごめんね。君達の島を荒らすつもりは無いんだ。安心してほしい」

 静かに、そしてひっそりと事を進めるために両手を上げ、攻撃の意思はない事を伝えるが、おそらく相手にとって島を来訪する者と接触するのが初めてであるためか、ヴェイルの意思は伝わらない。

 少年はヴェイルの足から頭までじっくり見ている。

 ヴェイルの耳を見た瞬間、少年は驚愕し、焦りと恐怖の顔になる。

 数秒間硬直した後、覚悟を決めたのか、落ち着いた顔に戻る。

 するとヴェイルを鋭い目で見つめ、猛然と駆け出してくる。

 少年は、ヴェイルから見て左に弧を描くように走り、ヴェイルが少年の方へ体を向き直した瞬間、ヴェイルを通り過ぎるように真横に切り返す。

 少年は常に、ヴェイルの視界から外れるような動きを繰り返す。

 その速さというもの、おそらく歴戦の戦士でも目で追うことができないほどであったが、ヴェイルの目は少年の姿をはっきりと捉えていた。

 切り返した後、少年は頸動脈を迷いなくナイフで切り付けた。

_______________________________________

公開部分はここまでです!



続きは、書籍でぜひお楽しみください🌟

「BOTH」にて絶賛販売中です。

https://koishiotoko0917.booth.pm/

それでは次回の記事でお会いしましょう👋

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SKYSTORY SS小説 小石のような男

SKYSTORY小説5(新刊発売を記念)

こんにちは。小石のような男です。




『SKYSTORY』新刊ついに完成しました📚

そこで今回、

「ハルト」について簡単な小説をご紹介します。

さっそくご覧ください👇

掌編小説

ハルトはロゼの師であった。

 どんな時も共にあり、ハルトが唯一自分と対等に戦えるようになると、そう感じるほどの才を持っていた。

 心は誰よりも純粋で、いずれ王の席を譲りたいと考えていた。

 ロゼが初めて戦争に参加した時、多くの味方兵が殺されるのを間近で見た。

 多感な時期だったと言うのも相まって、ロゼは深く傷つき、悲しんだ。

 話に聞いていた戦争。教えてもらった世界の仕組み。

 それらを現実のものとして体感した。

 目の前で多くのものが死んでいく。そしてそれ以上の数、殺していく。

 そんな惨状を目の当たりにして、平然と立っているハルトに疑問を持つようになる。

 ハルトは戦争によってホムニピアを強く、大きくしてきた。

 同盟を持ちかけ、応じれば傘下に加え、反発すれば最もらしい理由をつけて戦争が始まっていく。

おまけ




・ハルトのキャラクター紹介

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・本小説の続き

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・SKYSTORY小説1

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・SKYSTORY小説2

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・SKYSTORY小説3

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・SKYSTORY小説4

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SKYSTORY SS小説 小石のような男

SKYSTORY小説4(新刊発売を記念)

こんにちは。小石のような男です。




新刊発売まであと二週間。年始から初めてようやく完成手前まできました。

そこで今回、

SKYSTORY第四弾『桜の詩』に出てくる、アカシアについて簡単な小説をご紹介します。

さっそくご覧ください👇

掌編小説




大嵐の夜に空から降ってきたリード・ベルを助けて以来、リードの親代わりになったアカシア。

マナス(魔力)量が多すぎて体が壊れてしまいそうになるリードを守るため、マナスがコントロールできる分しか引き出せなくなる魔法の縛りをリードにかける。

リードが本来の力を引き出すことができれば、マナス量だけ見るとハイエルフに匹敵するものだとアカシアは言う。

いずれくる旅立ちの日のためにリードには剣と魔法を教え、世界についても教えた。

リードにとってアカシアは生まれてからずっと近くにいてくれた父親のようなもの、 アカシアのことを本当の父のように慕っている。

本編



他にも、SKYSTORYを楽しめるために、短い小説を公開しています👇

・SKYSTORY小説1

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・SKYSTORY小説2

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・SKYSTORY小説3

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そして小石のような男が手掛ける新刊『桜の詩』は、

さらに掘り下げた小説が完成予定です。

東京コミティアで販売するのでお楽しみに!!!

さらに今回登場した人物「アカシア」について知りたい方は、

下記の記事も一緒に読んでみて下さい👏

「アカシア」キャラクター紹介

https://wp.me/pbYvU7-D3

それでは次回の記事でお会いしましょう👋

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SKYSTORY SS小説 小石のような男

SKYSTORY小説3

こんにちは。小石のような男です。




SS小説好評につき第三弾を書きました。🖊

短く、読みやすい工夫をしましたので、さっそくご覧ください👇 

【言語-こえ-を操る力は他者の脳を支配する】

世界には魔法や魔術、霊術、神通力など特殊な力が多数存在している。

しかし中でも古来から秘匿にされてきた秘儀の中で最も優れており、さらには危険であるという。

種属毎に伝わる力があるが、言語-こえ-の力は全ての種属が持っている力だ。その種類は様々で主には言葉や音、歌などがある。

言語-こえ-は、他者の脳を支配し、コントロールすることができる力であり、また特定の何かしらを植え付けることもできる力である。

その力を持ってすれば、ヒトが魔人を支配することも可能だ。世界における種属の序列が低い種が高い種を掌握する。

普通ではあり得ない可能性を秘めているのが、言語-こえ-だ。

真相




しかし、言語-こえ-を習得することができる者はほとんどおらず、一生のうちでこの力を有する者と一度でも対峙する経験することは奇跡的な確率でしか存在しない。

なぜならこの力を習得した者はできる限りの使用を禁じられており、使用したとしても被受者はそれに気付かないからだ。

つまりは対峙しているものの経験という記憶が脳に存在しないため、対峙していないものと同じというわけだ。

具体的な言語-こえ-の習得法は、同じく言語-こえ-の習得者に直接教わること。

まずは、基本的な世界の全ての知識に関して学び、種属についての知識が博士の域に達した段階で波や音、脳の仕組みについて学ばされる。

その間で師から何度も技をかけられ体に染みつけていく。

「黙れ」で相手を沈黙させ、 「語れ」で相手の秘密を語らせ、 「死ね」で相手を自ら死に至らせる。

これは、敵に対しての基本的な使用法で、

「あそこにある赤い扉を開き、水が入ったバケツをもってこい」

「自らが持つ最も強大な魔法を使用し、自らの最も大切にしている者を傍観者がいる前で殺害しろ」

など具体的に動かすこともできる。

他には相手が発した言葉から真意や心理、感情を読み解いたりもできる。

同じ言語-こえ-能力者が対峙した時は能力の強さよりもその者の持つ心の強さが勝敗に影響を与えやすい。

習得過程において最終門では熟練の師を心の強さで打ち負かすと言うものがある。

弟子は師を変えていかなければならないと言う考えの下だ。

"言語-こえ-の力は何より強大で、元々竜が持っていた力でだとされている" __ 竜が古来より持っている生物を超越する力について考えていたら、修行すれば再現度は低いけど下等な種属でも使えるようになるのではないか。

もし使えるようになれば、あなたはどう利用しますか?

SKYSTORY小説 その他

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SKYSTORY小説2

こんにちは。小石のような男です。




2021年11月企画で開催したSS小説企画を読み返しました。

どれも面白しく、私も小説を書きたくなったので今回、

SS小説第2弾を公開

小説1▶https://wp.me/pbYvU7-1aT

とはまた別のジャンルが異なる物語。



ぜひ『SKYSTORY』の世界観への入り口としてお楽しみください👏

禁断の実-意識覚醒

"禁断の実"と呼ばれる非常に高価な木の実が存在する。

一口でも齧ると脳に高次元の刺激を与え、神と呼ばれる者に近い意識体験をすることができるという実だ。

今では極めて少数のみ裏市場に出回っており、非常に高価であるため実際に見たことがあるというものはほとんどいない。

 神話ではエルフ属が祀っていた神木に成っていた実であり、これを摂取したことによりエルフ属特有の不思議な力(霊術)が発現したのだと言われている。

後にこれを知った魔人属達により神木は燃やされ、古代のエルフ達がもつ神智的な力が弱まったとされている。

前編

「おや、目が覚めたようだ。痛むかい?エルフ君」

水が滴る薄暗い部屋で、枯れ木で有りながら強い力によって生かされている黒い木に衰弱し意識が朦朧としているエルフが縛り付けられている。

エルフの首や手には貴金属が装着されており、高貴な家柄であることが窺える。

「あ……う……」

エルフは赤子のようにしか訴えることができず、主張を理解できない。(そもそも聞こうとしない)

ピシウスは、淡々と作業を続ける。

「君達エルフの中でも良い生まれの者の血からは、より多くの覚醒質を採取することができるんだ。やはり君は良いものを持っているね。これで僕の目利きとしての才が間違いのないものだと兄さん達に証明できるよ。」

 縛り付けてある黒の枯れ木によって全身の血液を抜かれ続けるエルフの意識は風前の灯火。

今にも命の火が消えるというタイミングで魔人による採血が終わる。

エルフは今日の分の終わりを微かに保たれている意識で悟ると、首を落とし気絶する。

「今日も十分な量が採れた。やっぱり王家の血は良いなあ。回復力に優れているから何度も採れる。もっと早く分かってたらこれまで無駄にする事無かったのに、もったいない。」

魔人は、仕事を終えると鰐のように重い尻尾を引き摺りながら部屋を出ていった。

「兄さん、前言っていたことは実証できたよ。これで意識覚醒剤の完成に近づいたよ。これで父さん僕に会ってくれるかな?」

 体中血まみれであることは一切気にせず、整えてあったズボンを引っ張ってきたピシウスに対して、ルースは呆れた表情で見下ろす。衣服が汚れる事を嫌う兄だが、何度言っても聞かない弟に対して怒ることはもう無い。

「なぁピシウス。いつまでよくわからない実験をしてるんだ。大抵のことは魔人がこれまで記してきた書物の中に書いてある。禁断の実は大昔に盗った分しかもう残ってないって言ってるだろ。」

「違うんだ兄さん。実験してると大抵は書物に書いてあること通りなんだけど、時々違うことがあるんだ。多分なんだけど意図的に嘘が混ざってると思うんだよね。」  

 敬虔なイザヤ信徒のルースは、魔人属イザヤが記した書物に書かれた事を絶対的に信じているため、弟の言う事に対して一切の理解を示そうとしない。

「いい加減お前も魔人属らしく現世-うつしよ-の真理探究に集中しろ。エルフみたく下等種属じゃないんだ。世を解き明かすこと、これのみが上位存在として世に生を受けた我らがやるべきことなんだから。」



後編

 ほら、お前も食べろと言わんばかりに禁断の実をピシウスに渡し自らも身を齧る。

 一瞬意識が途切れたように頭が揺れ、魔人属特有の真っ黒な目が 白く充血する。

長時間湯に使った後、湯船から上がった時に出るような声を発したルースは、先ほどの鉄仮面とは思えないとても満足げな表情をしている。

 「どうだピシウス。禁断の実はほぼ全て我々が牛耳ってるんだ。今更新たな覚醒の薬を作る必要がないだろう。」

実の効力の効き目が強く、ピシウスの返答など聞こうともせず自分が話したい事を話す。

「わかったよ兄さん。なら一回試してみてよ」 ピシウスは首を垂れている衰弱したエルフから採った覚醒質から作った、試作品の意識覚醒剤を金でできた杯に注いだ。

ルースは効力を疑いながらも金杯に入った意識覚醒剤に口をつけた瞬間、杯が土でできた床に落ちエルフの足元へ転がる。

意識覚醒剤をほんの一滴ばかし体内に取り込んだルースは脳に走るあまりの衝撃に耐えきれず、高い塔が内側から粉々に爆破されるように腰から砕けその場に倒れ込んだ。

この一瞬の間にルースが体験したことは、ルースのこの先の人生の中でも最も記憶に残る体験になったことは間違いない。

後にピシウスが完成させた意識覚醒剤は各種属の学問を極め者や芸術家、ないしは王族貴族の間でひっそりと広まるが、最終的に大きな戦が連続して起こる時代になると最強の兵士を創り上げるために何度も使用されたという。

元となる素材がエルフ属の血であることが判明された暁に、エルフ属は魔人属戦争をしかけ数百年続いた後に意識覚醒剤についての情報は秘密組織マート(世界の秩序を裏で守っている組織で、種属関係なく紹介にのみ加入できる)によって封印された。  

 現在この薬が隠されている場所を知るものはおらず、マートの三賢人一人一人の持つコードを全て集め、解読した際にのみ辿り着くことができる最重要機密の一つになった。




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SKYSTORY小説1

こんにちは。小石のような男です。




先日「pixivFANBOX」にて、『SKYSTORY』に関する掌編小説を投稿させてもらいました。

そこで今回

本記事テーマ

SKYSTORYの一部シーン紹介📚

せっかくなので「pixivFANBOX」だけでなく、

小石の庭の方でも少しご紹介していきます。

木の下で起きる物語

物凄く広い草原。

そこには草原以外の何もなく、あるとすれば限りなく広がる空だけ。とても不思議な空間だ。

空を見上げると沢山の雲があり、雲の中に何か蛇のような影が見える。

「どこだここは……。」

リードは夢うつつで歩いていく。

時々あるこの感覚。

行ったことが無いはずなのに、懐かしく思える場所。

少しずつはっきりする意識、しかしいつものように魔力(マナス)を練ることはできない。

「てことは、ここは夢か………。」

今この場所が夢の中だと確認したリードは、いつものように流れに任せて何者かに導かれるように動く。

NOAHの島にいる時の空気に似たものを感じているものの、見たことが無い景色であることに戸惑いを隠せずにいる。

普段宙を泳いでいるはずの魚のディーノが見当たらず、足元の草の隙間には見たことが無い虫が飛び回る。

そしてそこに待ち受けていたものとは・・・?

続きは、小石の作品『SKYSTORY』専用コンテンツ(pixiv)に遊びに来てください

https://koishiotoko.fanbox.cc/

それでは次回の記事でお会いしましょう👋